病気の話-睡眠時無呼吸症候群(SAS)

・睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)とは
 一言で簡単に説明すると、寝ている間に呼吸が止まってしまう病気です。ただし呼吸が止まったままではいけないので、ある程度無呼吸が続くと意識はなくても脳が自発的に覚醒して呼吸を再開します。その覚醒により睡眠が断続的で不十分になり、日中の激しい眠気という症状が出現するのです。居眠り事故を起こした新幹線の運転士がこの病気であったことが判明して一時話題になりました。
 この病気には2つの原因があります。いびきがひどくなりすぎて呼吸が止まってしまう「閉塞性」と脳が呼吸をする命令をやめてしまう「中枢性」です。頻度としては閉塞性SASが圧倒的に多く、激しいいびきが急に止まることで家族から発見されやすいのもこちらです。いびきは空気の通り道である気道が舌や扁桃腺などにより塞がれてかかると発生し、ふさがれ方がひどくなると呼吸そのものが止まってしまうわけです。

・このような方は要注意
 息が止まると言ってもそのまま永遠に止まってしまうことはありませんが、上に書いたように沢山寝ているはずなのに仕事中に激しい眠気に襲われたりする方は要注意です。夜間の睡眠による休息が十分でないと、知らないうちに心臓に悪影響を与えているかも知れません。何となくおかしいかな、あやしいかな、と思ったら早めに睡眠時無呼吸の検査をして的確な治療を受けるようにしましょう。太っている、アゴが短い、扁桃腺が大きいなどの身体的特徴のある人で、日中にものすごく眠くなり寝てはいけない場面で居眠りをしてしまった経験などがある人はご相談ください。

・一般的な受診から治療までの流れ
1.家族の指摘や自覚症状により受診。
2.夜間の呼吸状況や酸素不足を評価する簡易検査を実施。
(当院では、検査会社から検査機械をご自宅に郵送→一晩ご自身で検査した後に郵送により返却→2-3週間後に検査結果が判明、という形で検査を実施します。)
3.無呼吸低呼吸指数という検査結果に応じて治療=CPAP(シーパップ:鼻マスクで気道内に圧力を加えのどの奥での閉塞を防ぐ治療)を開始。検査の結果が軽症であってCPAPの保険適応とならない場合には、下あごを前に出すマウスピースを歯科で作成してもらうことも可能です。

・CPAP
 CPAPの治療は当院から機器をお貸し出しする形でおこないます。毎月少なくとも1回は外来を受診して治療費をお支払い頂く必要があります。